
薩摩の茶匠 熊田氏の茶畑は、険しい坂道を登った山頂に広がります。
「人里離れた」という言葉どおり、耳を澄ましても小鳥のさえずりと木々を揺らす風の音しか聞こえません。
茶の木は、広く澄み渡った空から降り注ぐ太陽の恵みをたっぷり浴びて、みずみずしい新芽を天に向かってぐんぐん伸ばしていきます。
茶畑に立つと、森林浴をしているような清々しい香りがします。これは土の香り。化学肥料や農薬を使わないので、茶畑の土にはたくさんの微生物がいるそうです。
だから、森土のようなさわやかな香りがするのです。
また、茶畑にはてんとう虫やカマキリ、クモなどたくさんの虫たちがやってきます。
この虫たちは、茶葉につく害虫を食べてくれるありがたい存在なのです。
はるか昔から受け継がれてきた生命の営み。
「自然のちからにまかせて、少しだけ手伝いをしてあげるだけ」熊田氏はそう言って、茶の木をやさしく見守ります。
